スタートアップ発表者が見たSlush Asia 2016の舞台裏

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Housmartのまっくすです。

世界最大級のスタートアップイベント「Slush Asia 2016」のピッチングステージにて発表を行ってきました。 初めて英語で投資家向けに発表を行ったスタートアップ発表者の目線で、発表当日までのスケジュールに沿って振り返ります。

  1. 申込と書類審査(開催1ヶ月前)
  2. Pitching Perfect(開催1,2,3週間前)
  3. 前日リハーサルとMedia Day(開催1日前)
  4. 発表当日
  5. 振り返ってみて

1. 申込と書類審査(開催1ヶ月前)

まずスタートアップとしてSlush Asiaにイベント登録すると、以下の情報を登録するフォームを渡されます。 入力は全て英語ですので「参加費を払えば登録完了かな?」と思っていると締切直前で焦るので早めに入力しましょう!

  • 会社・プロダクト概要
  • 収益
  • 投資状況
  • 市場
  • 競合
  • 直近12/18ヶ月の成長
  • etc

発表に申し込んでいる場合は上記の情報で発表者の選定があり、選ばれると担当者からメールにて連絡があります。

2. Pitching Perfect(開催1,2,3週間前)

選定後は発表練習の場である「Pitching Perfect」に関する案内が届き、土日で構成された計5セッション(3日間)のうち好きな日程を選び参加することができます。 英語での発表が初めての場合は2回の参加が推奨されていたため、私達も2回分を申し込みました。

参加した練習はAccentureさんとPwCさんのオフィスで行われました。 普段入ることのない素敵な高層ビルのオフィスでテンションも上がります!

  1. 本番想定で3分発表する
  2. フィードバックを貰う

練習の内容はシンプルで上記の流れを2回、各社が行います。 発表に対して 投資家、外資コンサルタント、教授、Google社員といったネイティブ・経験豊富な方々からフィードバックをもらえます

今思い返すと、Pitching Perfectは最も落ち着いて他のスタートアップの方々やスタッフと話をできたタイミングでもあります。

3. 前日リハーサルとMedia Day(開催1日前)

イベント前日には、幕張メッセで設営したての舞台上でリハーサルを行います。 発表に使うスライドは開催1週間前に提出締切で、リハーサル後の変更はできません。 予選に使う3分用と、それ以降で使う5分用のスライドを提出します。 舞台上での立ち位置の確認や、舞台下の発表者用スクリーンや残り時間の見え方を確認します。 幕張メッセでの平日開催であったためかリハーサルへの参加企業は少なめです。

会場も前日に全て設営を実施するようで、会場は大忙しで設営中。学生の頃の文化祭を思い出しました。

「Media Day」はイベント前日にスタートアップとメディアが交流できるクローズドな場です。 ここでは選考で選ばれた2組だけ5分のプロダクト発表時間を与えられていました。

4. 発表当日

予選・準決勝・決勝

発表は予選・準決勝・決勝の3回戦から成り、予選は60社、準決勝に18社、決勝に5社のスタートアップが進みます。 予選はEコマース、コミュニケーション、VRという具合にグループ分けされており、審査員もグループごとに異なります。 発表前は最終練習で他のスタートアップのブースに行く余裕はありませんでした。 発表と展示スペースの双方に申し込む場合は、発表者と展示担当者を分けましょう。

発表時間の30分前になると、担当者電話で呼び出しがありピッチの舞台裏へ向かいます。 舞台裏では発表の確認・練習に勤しむ人もいれば、発表者同士やスタッフの方々との会話もあります。 自分の発表順になると5秒間のカウントダウンムービーが流れ、その間に壇上に上がります。

5秒前、カウントダウンが始まる
4秒前、舞台裏から出る
3秒前、壇上手前でマイクを右手に取る
2秒前、壇上のクリッカーを左手に取る
1秒前、オーディエンスを見る
そして、ピッチ開始

あとは全力で発表です!

Slide
kawlu.com

必死だったので写真はどれも顔つきが真剣です・・。

審査員からの質問は基本的にマネタイズやサービスの仕組み、事業拡大の戦略を聞かれます。

ピッチの結果、私達は予選・準決勝で計2回の発表をすることができ、何名かの投資家の方々とも会うことができました。

メインステージ・展示ブース

発表後の時間には、他のスタートアップが出店しているブースを見て回ったり、メインステージで著名な方々の講演を聞くこともできます。 個人的にはモバイル用のアナリティクス系ツールのブースが気になって話を聞いてきました。 展示の紹介は色々なメディアで紹介されているのでこちらでは割愛します。

Matchmaking

「Matchmaking」という投資家にイベント会期中の時間でミーティングを依頼できるツールがあります。 ミーティングできる時間枠は限られているので早めに積極的に利用しましょう。 私達も投資家の中にいた「厚切りジェイソン」さんにミーティング申請しましたが既に予定が埋まっていました・・。

5. 振り返ってみて

フィードバックと変遷

Pitching Perfectではたくさんの貴重なフィードバックをいただいたので一部をここで紹介します。

内容について言われた点:

  • 語る対象を投資家やユーザに具体的に絞る。
  • 投資家を探しているのであれば、どのシード期なのか、いくら欲しいのかを明確にする。
  • 競合サービスや類似サービスとの差別化を明確にする。
  • チームを紹介するなら、チームが優れていることを示す実績や背景を添える。

ピッチのテクニックや表現方法に関わる部分:

  • プロダクト名やお金の表記の英語表記を忘れない。
  • “Today we introduce about…“というような始め方いらない。誰が何を発表しようとしているか分かっている。
  • 会社名とプロダクト名を両方は出さず、プロダクト名だけを繰り返す。2つ覚えるのは難しい。
  • 同じ問題・キーワードについて繰り返すとストーリー性が出る。コンセプトとなるフレーズは早めのスライドで言う。
  • 文字を減らす。例えば文章になってなくても、”460 million yen / 4 months”で分かる。スライドはピッチをサポートするものであるべき。
  • 問題提起、解決策、実際の結果、未来というような明確でシンプルな流れを作る。周りは本人ほど理解が深くない。複雑な問題を「簡潔に説明できる能力」も投資家は評価するだろう。
  • “so”や”and”といった繋ぎの言葉を入れながらスライドをめくらない。文章毎に強く切っていく。
  • スライドを見ない。スライドや中身の切り替わりのタイミングで目を見るオーディエンスを1人ずつ変えていく。
  • CEOらしさを感じない (※まっくすはCEOではありませんが、オーディエンスには関係ありません)。情熱、インパクト、エキサイティングが欲しい。

練習ごとにかなりの数のフィードバックをもらい、それらを踏まえて何度も内容を修正をしました。

使った時間

ピッチパーフェクト: 5時間 * 2日
前日リハーサル: 4.5時間
自主発表練習: 6時間
当日: 10時間 * 2日
資料作成: 14.5時間
---
合計: 35時間

改めて振り返るとそれなりの時間を使いました。 資料作成の時間が長いのはフィードバックを貰う度に大きく作りなおしていた結果です。

雑感

今回賞を取ったピッチはどれも、発表クオリティが高く、事業の実績や成長性が示されていて、Slush Asia 2016にふさわしいプロダクトが選ばれています。 そういったプロダクトと比較されることを考えると、ピッチではシード期に近い企業の場合であっても、出せるだけの実績・将来性やデモもしくは動いた場合のイメージをしっかり見せる必要があります。

Matchmakingでお会いした海外の投資家の方にピッチに使った資料を使って説明をしたのですが、やはり別の資料を用意した方がよいです。 ピッチの数分では言えなかった細かい部分のデータが必要です。

ピッチの予選ではスライドが3枚目から始まったり、準決勝の5分ピッチでは提出していたものとは異なる3分用スライドが表示されてしまうというトラブルもあったので、動じないように練習や事前確認は入念に行いましょう。 ただ、イベント中のトラブルらしいものは他にはなく、分からないことや明確でないことはスタッフの方々に聞けば丁寧に教えてくれます。

Pitching Perfectでは、他の参加者達の流暢な英語とプロダクトの先進性に驚かされ、そしてフィードバックでもらった「CEOらしさを感じない」でものすごく焦りを感じていました。 たしかにCEOではないですが、聞き手がそう感じてしまうピッチは大問題です。 より多くの回数のピッチを獲得するには、誰も見たことのないVRの世界観やデバイスや宇宙にまつわる壮大な製品を持ち、会社を起こすほどのパッションを持ったCEO達を突破していく必要があるのですから、プレッシャーもありました。 なんとか2日目も登壇するという目標は越えられたものの、決勝に行けなかったのはやはり非常に悔しい。

最後に、Slush Asiaは多くの学生ボランティアで成り立つイベントです。 イベントのために何日もAirbnbを使って海外から日本に滞在する学生たちの、情熱やフットワークの軽さ、投資家や起業家になりたいというビジョンは本当に凄いです。 そんな方々が企画、ピッチへのフィードバック、舞台裏での気遣いと、全力でサポートをしてくれたことに本当に感謝しています。 スタッフの皆様、ありがとうございました!

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